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中国インフレ 世界はこう見る――中国市民の嘆きから世界経済への打撃まで

2010年11月28日

【新唐人2010年11月29日付ニュース】中国の10月のインフレ率は、2年ぶりの高い水準に達しました。食品価格も10%以上値上がり、貧しい人々の暮らしを直撃しています。海外メディアは、インフレ対策は中国経済にとって最優先の課題だと指摘し、中国政府も矢継ぎ早に対策を打ち出しているものの、そのかじ取りは困難を極めそうです。

食品の大幅な値上がりを受けて、中国の10月の消費者物価指数は4.4%上がり、政府の設定した年間3%の目標を超えました。それでも、消費者物価指数は現実よりも低過ぎるといわれます。
 
当局によると、11月上旬、中国の36都市で白菜、きゅうりなど野菜の平均価格が去年同期よりも62.4%上昇。投機マネーで沸くニンニクと生姜はそれぞれ95.8%と89.5%値上がりしました。
 
今年に入ってから、中国の農産品は価格が急騰。綿花は3~4ヶ月で倍になり、大豆や油、とうもろこし、砂糖も5割値上がりしています。
 
食品の値上がりは、貧困地域で特に深刻です。長春(ちょうしゅん)や昆明(こんめい)、ウルムチなど収入の低い地域では、食品価格の上昇幅が全国平均を上回ります。
 
食品の値上がりは、中国の貧困家庭を直撃しています。多くの貧困家庭は、収入の半分以上を食費に使っているからです。
 
中国経済体制改革研究所の元所長だった程暁農(ていぎょうのう)氏は
中国経済体制改革研究所・元所長 程暁農氏
「真の問題は所得再分配の二極化と社会の貧困化です。あるいは相対貧困化、所得の再分配の改善は経済構造を変えないと、実現できません」
 
今年、全国で最低給与基準が引き上げられたものの、インフレで給料アップも帳消しになりました。7月から9月までの中国の消費者信頼感指数も、5ポイント下がって104になりました。
中国政府は今年、矢継ぎ早にインフレ対策を打ち出しました。銀行の預金準備率の引き上げ、不動産への貸し出しの抑制、資本の統制、10月の利上げ、人民元の緩やかな上昇などです。
 
 “ウォールストリート・ジャーナル”は、これに対し、もっと多くの利上げが必要だと指摘。現在、インフレ率が銀行の利子1.9%を上回るので、預金すると資産が目減りします。10月には、貯蓄高(ちょちくだか)が1000億ドルも減少。そこで多くの金が投資に回り、バブルを招きます。
 
中央銀行通貨政策委員の周其仁(しゅうきじん)氏は、“流動性の多い商品が少ないことがインフレを招いた、利上げだけでは状況を変えられない”と発言しました。
 
周氏はさらに、貸付が過剰な状況では、国内資産の価格上昇を招くと指摘。ただし不動産を引き締めれば、過剰な資金が複数の市場に流れ、国内の多くの商品が投機対象になってしまうと述べています。
 
中国の財テクに詳しい趙良(ちょうりょう)博士は、2008年の金融危機以来、中国の通貨供給量はずっと25%以上の伸びだったと指摘。このほか、インフレも産業構造調整が招く必然の結果だといいます。ボイス・オブ・アメリカの取材に対し
 
趙良博士 ボイス・オブ・アメリカより
「中国の経済構造はすでに構造調整すべき段階に入りました。その代価は2点。
1 今のGDPが、多少影響を受ける。すぐには生産力を回復できないから。2 短期間では 商品の供給不足で、物価が上昇します」
 
“ウォールストリート・ジャーナル”は、アメリカの金融緩和政策で、食料や石油などが値上がりし、大量の資金が新興市場に向かったと指摘。中国にとっても、インフレ対策の緊迫性が増しました。
 
イギリスの“フィナンシャル・タイムズ”は、世界的に商品が値上がりし、多くの国では食料価格の上昇がインフレを上回っていると指摘。中国が特に強く影響を受けているのは、中国人のエンゲル係数が高めだからです。
 
高いインフレが続けば、中国は恐らく、利上げや銀行の預金準備率の引き上げなどを打ち出すと見られます。これらの引き締め策で、中国経済が冷え込み、原材料の需要も低下し、世界経済に打撃を与えるという懸念が広がっています。
 
新唐人テレビがお伝えしました。
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